血圧が下がれば何でも良い?健康食品に決定的に足りない効能を解説

こんにちは、すずねこです。

いきなりですが、この文章についてどう思われますか?

①血圧が高いと脳卒中や心不全になりやすい
②薬Aを飲むと血圧が下がる
③だから、高血圧の人が薬Aを飲むと脳卒中や心不全になりにくくなる

いわゆる“三段論法”というやつですね。

一見すると正しそうに見えますが、残念ながら、これは間違いです。

①は正しいです。
でも、その後に落とし穴があります。

ええ!?血圧が下がれば良いんじゃないの?と思った方、多分騙されます。

世の中には、もっともらしい宣伝で健康食品が沢山販売されています。

その中には医師が勧めるとか、有名な人が飲んでる、などの付加価値を付けているものが多いですが、残念ながらほとんどの健康食品には重大な理論的な欠陥があります

しかし正しい考え方が理解できれば、怪しい商品に騙されることも減ると思います。

今日は、その一例を紹介します。

具体的には、高血圧の治療の真の目的を考えることで、血圧が下がる~という健康食品に決定的に足りない効能を明らかにしたいと思います。

高血圧の治療の真の目的とは?

例えば、過去には高血圧の治療薬として、このような薬がありました。

血圧はしっかり下がる。
でも、心筋梗塞になりやすくなる。

もちろん、今では販売中止になっています。元も子もないですからね。

高血圧の治療で大事はことは、高血圧によって引き起こされる『重大な病気の予防』です。

血圧が高くても普通は困らないので、血圧を下げることがゴールではありません。

血圧を下げて、脳卒中や心臓になる可能性が減らなければ意味がありません

血圧が下がれば何でも良いわけではないのです。

ややこしい話ですが、誤魔化されずについてきて下さいね。

薬にしろ、何らかの健康食品にしろ、人体に作用する場合には悪い面を考えないといけません
『予期しない効能』『その時点の科学では明らかになっていない作用』があるからです。

そのため薬は、目的とする効能を確認するだけでなく『使うことで重大な病気を防げるか』とか、逆に『予想外の重大な副作用がないか』を検証しているのです。

血圧の薬で言えば、飲むことによって血圧が下がるだけでなく

『心不全になるリスクが減る』
『脳卒中になるリスクが減る』

さらに言えば、

『重大な病気の予防で死亡率が減る』

ということが治療の真の目的となります。
もちろん、副作用で悪くなる人達よりも、薬の効果で良くなる人達の方が多いということは大前提です。

目先の効果だけを検証するのではなく、その先にある重大な病気を予防することこそが大事です。

実は『高血圧の治療の目的は何か』という問いは、医師国家試験にも出題されたことがあり、医師になる前にはこのような大局的なものの考え方を学ぶのです。

健康食品の宣伝に騙されないようにする

さて、ここからが本題です。

世の中の健康食品の多くは、この真の目的を達成できているか不明です。

『血圧が下がってすごい!』などと色々宣伝されていますが、肝心の重大な病気の予防効果まで検証されていません。

検証されているデータは、せいぜい数ヶ月後に血圧が下がるとか、有効成分が入っていて効果が『期待できる』程度のものでしかありません。
副作用については、検証されていないのか何も書いてありません。

医師をしているとよく健康食品について質問されますが、しっかりとした研究データが論文化されていないものは分からないとしか答えられないですし、どんな悪いことが起きるかもデータがないので、残念ながら摂取し続けるなら自己責任としか言えないのです。

『この健康食品は生薬由来だから安心』という謎の理屈もありますが、天然成分でもフグ、トリカブトのように明らかな毒はありますし、『生薬由来だから安心』という前提が保証されていないのです。

こういった前提が間違った理屈、冒頭の三段論法のような、一見して説得力がありそうで騙されてしまうことは、誤謬(ごびゅう)といって幾つかのパターンがあります。

他のパターンは別の機会にお話ししようと思いますが、いずれにせよ、正しい知識を身につけないと簡単に騙されてしまうので、気をつけてくださいね。

まとめ

高血圧の治療の真の目的は、死亡率の低下、脳卒中や心臓の病気の予防です

血圧が下がる健康食品に決定的に足りない効能とは、これらの重大な病気の予防効果が不明ということです。

ただ単に血圧を下げるだけのデータでは一歩足りません。

高血圧を指摘されて治療を考えるのであれば、ちゃんと病院にかかりましょう。

今日の内容が皆さんの参考になれば嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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