【一般向け】心不全の症状や治療、気を付けることを解説

こんにちは。すずねこ です。

今日は心不全とはどういった病気なのか?、どうして心不全になるのか?、どのような治療があるのか?といったことを、数多くの心臓病を治療してきた視点からザックリとまとめたいと思います。

心不全とは何か

ネットで調べると学会の定義が出てきます。まずは、そのまま引用してみましょう。

『なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・ 怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群』

日本循環器学会のガイドラインより

分かったような分からないような内容ですね。

専門家でない人は正しく理解する必要はなく、イメージを掴んで貰えば良いと思うので、このように考えてみます。

医師の説明では胸(肺)や足に“水が溜まる”とよく言われますが、正確には水ではなく、血液中の成分の一部です(血液そのものとも違います)。

詳細は割愛しますが、多くの医師の説明にならって、ここでは“水”という表現を使いましょう。

胸や肺にたまった水を胸水肺水腫と言い、手足がむくんでくることを浮腫と言います。

心臓が悪いだけでも息苦しくなるのですが、循環が悪くなることで更なる苦しさや症状が出現してきます。

これらの症状はゆっくり進行する人達もいれば、今まで何も前兆がなくて急激に強い症状が出て緊急入院する人達も多いです。気付いたときには重症、そんなことも珍しくないのです。

治療が奏功して無事に退院できても、時間共に心臓は悪くなっていき入院を繰り返します。

そして入院するごとに、体力が落ちていき、どんどん衰えていく、それが心不全という病気なのです。

心不全の原因は?

では、そもそも、なぜ心臓が悪くなるのでしょうか?

何も原因が無くても悪くなる人、加齢で悪くなる人もいます。これらは本人の努力では何ともならないものですが、生活習慣が悪いことで心臓が悪くなる人達もいます。

例えば、健康診断で引っかけられる高血圧糖尿病

数値が高いだけで、症状もなく困ってないのに、なぜ治療しなければならないのか疑問に思っている人達も多いでしょう。

高血圧や糖尿病を放置すると、色んな病気を引き起こすので、そうなる前に対処が必要なのですが、心不全も代表的な病気の1つです。

喫煙や過度の飲酒も心臓を悪くする原因となります。

これらは知らないうちに病気を悪化させていく一方で、本人の努力や意識次第で予防することが出来ます。

基本的な治療

生活習慣の管理は大前提です。心臓を悪くする元凶を対処しないと、悪化と入院を繰り返してしまいます。

昔は、「心不全は悪くならないように安静!」と言われていたようですが、現在では心不全がある人でも適度な運動は必要というのが共通の見解です。

運動している人の方が、再入院の確率が低く、体力も維持できて健康に過ごせます。

ただし、いきなり激しい運動はよくありません。この辺りは病状によるので、主治医と相談になるでしょう。

飲み薬も必須ですが、薬については注意点があります。

心不全の薬の内容を見ると『血圧の薬』と書いてあるものもあり、血圧が高くない人にも処方します。

薬の説明文書には詳しく書かれていないことも多いですが、血圧を下げる目的ではなく、『心臓の保護作用』『再入院の予防』目的で使用します

私たち循環器内科医は、このような薬の特性を正確に把握して、それぞれの心臓の状態に応じて薬を追加していきます。

心不全の薬の種類は多く、5~7種類くらい飲んでもらうことも珍しくはありません。

これらは今ある症状を良くするだけで無く、将来の悪化の防止のために使います。

薬を飲んで症状が良くなって「治った!」と勘違いしてやめてしまうのは非常に危険です。

急激な悪化を招き、緊急入院となってしまいます。そして入院を繰り返すたびに体力が落ちて以前より悪い状態となってしまうのです…

調子が良くても勝手にやめない、まずはこれを心に留めて下さい。

また、更なる治療として心不全の原因によっては飲み薬の治療に加えて、
・ペースメーカー植え込み
・カテーテル治療
・開胸手術(バイパス、弁置換など)

など追加の治療があります。

循環器内科医はカテーテル手術やペースメーカー治療を行い、場合によっては心臓外科に依頼して開胸手術を行います。

これらは発展的な内容になるので別の機会に話しましょう。

しかし手術を行った後も、通常は生活習慣の管理・飲み薬の継続は必要です。

まとめ

心不全についてまとめました。

知らないうちに悪くなっている、発症してからは入院と退院を繰り返して体力が落ちていく厄介な病気です。

私から強調したい点は、とにかく食事・運動・禁煙・節酒などの生活習慣の管理飲み薬の継続です。

発症してしまう前に予防できることが理想的で、発症してしまった場合にも適切な管理を行って再入院しないようにしたいものです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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